新型コロナウィルス対策によるテレワーク推進や、育児・介護や病気と仕事の両立推進など、さまざまな環境がテレワークを後押ししています。
テレワークの導入を検討する際の悩みは・・・
・導入コストがかかる
・情報ろうえいが心配
・労務管理がむずかしい
・テレワークを行う社員の評価方法がわからない
・コミュニケーションが少なくなって、業務の進捗がわからなくなる
・環境が整っておらず、非効率となることが不安
などがあります。
それらの対応策の例を紹介すると・・・
1 導入コストがかかる
ICTツールの導入費や人的コストなどの初期投資費用は企業にとって大きな負担になります。
そういった初期投資に掛かる費用は、政府や自治体の助成金や施策を使うことで抑えることができます。
例)「働き方改革推進支援助成金」新型コロナウイルス感染症対策のための特例コース
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000617764.pdf
2 情報漏洩が心配
社内のデータや情報の漏えい・消失リスクはテレワークの大きな懸念点の1つです。
たとえば、テレワーク利用の端末側からのデータ保存を防ぐには、セキュリティシステムを活用し、専用のアプリケーションをインストールさせたり、周辺機器に接続することで可能となります。
これらはサーバ側で管理でき、データや情報の漏洩・消失リスクを減らすことができます。
では、労務管理や社員のコミュニケーションの問題、人事評価についてはどうでしょうか?
遠隔にいる社員をどうマネジメントするかは、初めてテレワークを導入する職場にとっては大きな課題です。
毎日直接顔を合わせずに、社員とその業務をどう管理し、何をもって評価すればいいのでしょうか?
テレワークに適した評価項目とはいったいどのようなものなのでしょうか?
日本では、これまで「能力」、「態度」、「業績(成果)」の3つの軸で評価される制度が普及していました。
最近は、これらの3つに加えてMBOやコンピテンシー評価、360度評価等も併用されるようになりました。
しかし、多様な人材の活用が企業の成長を促す今、画一的な評価では、一人ひとりの持ち味を活かした育成ができません。
また、半年間、1年間の過去の評価では、ビジネス環境がめぐるましく変化する状況では、評価のタイミングが遅すぎて育成や能力開発に対応できなくなってきました。
そこで、処遇に反映させないノーレイティングという新しい評価制度が注目されてきています。
ノーレイティングとは、評価を行わず、ランク付けしない新しい人事評価制度です。
対話を通じて組織の目的を共有し、部下の特性を把握しながら、その成長を支援し、組織のパフォーマンスを上げていく組織マネジメントとしての評価制度なのです。
代表的な制度に1on1ミィーティングがあります。
ノーレイティングで大事なポイントは、「業務の見える化」と「対話」です。
テレワークでなく、リアルの際も組織のメンバー全員の「業務の見える化」ができていたでしょうか?
リアルであっても、結局は労働時間の長さだけで評価をしていたのではないでしょうか?
リアルで互いに「業務の見える化」ができている組織は、テレワークになったとしてもクラウドのタスク管理ツール等を活用し
「業務の見える化」ができているので、進捗状況が把握でき、組織の目的に沿って
育成や能力開発が活発に行われて個人の成長、組織の成長につながっていきます。
ポイントはテレワークであっても、リアルであっても「業務の見える化」と「対話」なのです。
テレワークでもリアルでも、個人の結果だけしか評価されないのであれば、短期的な視点に陥りがちになり、利己主義やチームワークの欠落、後輩の指導・育成が行われないなどの弊害が生まれます。
加えて、テレワークであれば結果を追いかけて長時間労働になったり、結果を得るために不正をしたりという問題が発生してしまう可能性もあります。
成果を出すための出発点は「行動」にあり、成果を出すためのプロセスとして「どんな行動をするべきか」を目標と定め、その行動を実行したかどうかで評価をする必要があります。
つまり、行動目標を可視化・数値化するために、成果を出すための過程(プロセス)を目標に盛り込むのです。
この場合、成果につながるプロセス(行動)は具体的で短期的なものである必要があります。
結果だけではなく成果を出すための過程(プロセス)も評価に盛り込まれ、どこで仕事をしていても成果によって評価されることがわかれば、在宅勤務が増えても社員は不安にならずに済みます。
テレワークでは、リアルよりもさらにプロセス(行動)を管理する必要があるのです。
テレワークでもリアルでも、大事な点は、個人の成果だけでなく、組織の成果にどう貢献したかを評価することです。
そして、テレワークでは、リアルよりもさらにプロセス(行動)を管理する必要があるため、組織の中で行われる「業務が見える化」と「対話」が欠かせません。
マネージャーが部下の各々の能力を把握しながら、適正に業務を切り出して割り振りし、業務遂行する部下のプロセス(行動)とその進捗状況を「対話」しながら管理し、全体をコントロールしていかなければなりません。
テレワークの「管理」とは、「監視」ではなく「関心」を持って業務遂行状況を確認しながら、部下の育成のための「対話」をしていくことなのです。
■まとめ■
①テレワークをきっかけに業務プロセスの見直しをしましょう。
②組織のパフォーマンスを上げるマネジメントを考えましょう。
③マネジメントのポイントは「業務の見える化」と「対話」です。